H048-明石市大久保町の家







H048-明石市大久保町の家


【建築家コメント】

明石市に計画された、夫婦と子供1人の為の住宅です。小高い丘を開発して作られた住宅地の中にあり、道路からは斜面を背負うような形の敷地にあります。

全体は、一部2階建ての変形したコートハウスとなっており、裏手の斜面に開けた裏庭もあります。水回りや収納以外は、床の高低差を伴いながら緩やかにひと続きの空間となっており、箱状に閉じきった部屋はなく、カーテンなどで仕切るのみとしています。

高低差のあるコアを含んだ床によって適所にスペースを設け、それらのスペース同士、そして外部との関係性を整える為に、3つのリング状の壁(一つは開いている)で全体を統合しています。
このリング状の壁は、内外からの視線を制御したり、床を伴って斜面に跳ね出す事で一部開いた中庭を作った、また、中庭を挟んだスペース同士の距離感を整えたりとすべてのシーンに影響するものです。
1階で垂壁だった壁が2階の腰壁になって連続する等、場所によって役割を変えるところもあります。
このリング状の壁によって、内外に豊かな関係性を持った、住む行為を楽しめるような住宅を目指しました。

ファサードには窓の無いミニマルな外観ですが、跳ね出し部の下から覗く中庭によって懐の深い建ち方となっており、道路から建物まで高低差がある敷地、あるいは傾斜地での、新しい建ち方の試みともなっています。


設計監理:モカアーキテクツ
施工:岸建工(株)
写真:中村絵写真事務所