
前回は、新宿区が既存の民泊まで含めて営業を禁止する方針を固めた話を書きました。今回はその続きです。
結論から申し上げます。都市部で締め出された民泊が、そのまま旅館業に姿を変えて生き残ることはできません。そして規制が強まるほど、姫路のような街の可能性は広がると考えています。
住宅地の民泊に、逃げ道はありません
今回の報道で、専門家から次のような指摘が出ていました。悪質な事業者が他の自治体に移ったり、旅館業に変更したりする可能性がある、というものです。
このうち「旅館業への変更」は、実際にはほとんど起きません。理由は用途地域です。
建築基準法上、旅館・ホテルを建てられない用途地域があります。
建てられない地域
第一種低層住居専用地域/第二種低層住居専用地域/第一種中高層住居専用地域/第二種中高層住居専用地域/田園住居地域/工業地域/工業専用地域
建てられる地域
第一種住居地域(床面積3000平方メートル以下)/第二種住居地域/準住居地域/近隣商業地域/商業地域/準工業地域
新宿区が禁止しようとしているのは、住居専用地域や文教地区です。そこはもともと旅館業の許可が取れない場所です。つまり、その民泊には転換先がありません。廃業するか、別の街に移るかのどちらかです。
民泊新法は「住宅だから住居専用地域でも泊められる」という理屈で作られた制度でした。住宅として扱わないと決めた瞬間、その場所では営業できなくなる。制度の入口と出口が噛み合っていないわけです。
規制されるのは、需要が過密になった街だけです
もうひとつ押さえておきたいことがあります。規制が強まっているのは、民泊が密集し、住民の生活と観光客の動線がぶつかっている街です。
新宿区は届出3775件で全国最多でした。京都市も同じ構図です。苦情の絶対数が行政の処理能力を超えたから、一律規制に踏み切りました。
逆にいえば、住民の生活圏と宿泊需要が競合していない街には、規制する理由がありません。ここに地方都市の余地があります。
ただし誤解のないよう申し上げると、規制が緩いのは需要が薄いからでもあります。「規制がないから有利」ではなく、「泊まる理由をどう作るか」とセットでなければ絵に描いた餅です。
姫路をどう見ているか
私たちが姫路で宿泊事業に取り組んでいるのは、次の条件がそろっているからです。
世界遺産がありながら、宿泊需要が取りきれていない
姫路城には多くの方が訪れますが、その多くが日帰りで通り過ぎています。オーバーツーリズムの逆側にいます。
城下町エリアの用途地域が、旅館業と相性がよい
空き家や町家が残るエリアには、商業地域や近隣商業地域が広く分布します。旅館業の許可が現実的に取れる立地です。京都や新宿と決定的に違う点です。
規制が強まる都市から、担い手と資金が動く
京都が新規禁止に踏み切れば、町家宿に取り組んできた事業者は次の場所を探します。姫路は新幹線の停車駅で、京都から40分ほどです。
空き家をお持ちの方へ
使っていない実家や空き家を宿にできないか、というご相談が増えています。
まず確認すべきは、その土地の用途地域です。ここで旅館業の可否がほぼ決まります。次に建物の構造と消防設備、そして事業として成り立つ収支です。
時間も費用もかかる道ですが、許可は資産として残ります。届出のように条例で消えることはなく、売却や承継のときにも引き継がれます。
土地の調査から資金計画、設計、施工まで、私たちは一貫してお手伝いしています。判断の前段階でかまいませんので、お気軽にご相談ください。
